「人手が足りない」「担当者が忙しすぎて手が回らない」——EC運営の現場でよく聞かれる言葉です。しかし、採用を増やしても売上が伸びない、新しいメンバーが入ってもすぐ行き詰まる、そんな状況に心当たりはないでしょうか。
実は、売上が伸び悩むEC事業の多くに共通するのは「人手不足」ではなく、「属人化」という構造的な問題です。本記事では、EC現場でよくある属人化のパターンと、その解決策について具体的に解説します。
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「忙しいのに売れない」の正体は人手不足だけではない
よくある現場の声
EC担当者にヒアリングをすると、こんな声がよく出てきます。
- 「メルマガは○○さんしか触れないので、休まれると配信が止まる」
- 「広告は代理店に任せきりで、社内で中身を把握している人間がいない」
- 「先月の売上データ、どこに保存されているかわからない」
- 「新しいメンバーが入っても、引き継ぎに時間がかかりすぎる」
これらはすべて「人が足りない」ことが原因ではありません。業務が特定の人・頭の中・個人のPCにしか存在しないという構造の問題です。
人を増やしても解決しない理由
「忙しいから採用する」という判断は一見正しいように見えます。しかし、仕組みがないまま人を増やしても、新しいメンバーは既存の担当者に依存するしかありません。結果として、忙しい担当者がさらに忙しくなるという悪循環が生まれます。
本当に解決すべきは「誰がいなくても回る仕組みをつくること」、つまり属人化の解消です。
EC現場における属人化の具体例3パターン
パターン① メルマガ・CRMが1人に依存している
よくある状況
メルマガの文章を書けるのが1人だけ、リストの管理も配信の設定も、すべてその人の作業です。テンプレートがなく、どのセグメントにどんな内容を送るかも担当者の感覚に委ねられています。
何が問題か
担当者が休む・退職するだけで配信が止まります。また、過去の配信実績やA/Bテストの結果が個人のメモやフォルダにしか残っていないため、改善の積み上げができません。メルマガは顧客との継続的なコミュニケーションであり、CRMの中核です。それが属人化していれば、施策の再現性もなく、売上の安定化も難しくなります。
パターン② 広告運用がブラックボックスになっている
よくある状況
「広告は代理店に任せているので、細かいことは担当者しかわからない」という状態です。何にいくら使っているか、どのクリエイティブが効いているか、なぜその予算配分なのか、社内で説明できる人間がいません。
何が問題か
広告はECの集客において最も費用対効果に直結する領域です。しかし担当者や代理店が変わるたびに過去のデータが引き継がれず、毎回ゼロからのスタートになります。また、社内に広告の知識がなければ、代理店の提案が適切かどうかも判断できません。結果として、費用だけが増えて成果が見えにくい状態が続きます。
パターン③ データ・分析が共有されていない
よくある状況
売上データはExcelで個人管理、アクセス解析は担当者しかログインできない、KPIの定義がメンバー間でバラバラ——こうした状態では、チームで現状を共通認識として持つことができません。
何が問題か
データが共有されていなければ、課題の発見も対策の立案も遅くなります。また「先月比でどうか」「施策の前後でどう変わったか」という検証ができないため、改善サイクルが回りません。ECは数値で動くビジネスだからこそ、データの民主化が成長の前提条件です。
属人化を解消するための4つのアプローチ
では、属人化はどうすれば解消できるのでしょうか。現場で効果的な4つのアプローチを紹介します。
アプローチ① 業務の標準化・ドキュメント化
まず取り組むべきは、担当者の頭の中にある業務手順を「見える化」することです。メルマガのテンプレート作成、広告レポートのフォーマット統一、商品登録のチェックリストなど、日常業務をドキュメントに落とし込むことで、誰でも同じ品質で動ける状態をつくります。
標準化は「手を抜く」ことではなく、「再現性を高める」ことです。担当者が変わっても、会社の知見として蓄積されていきます。
アプローチ② KPIの設計と共有
売上・CVR・ROAS・LTVなど、EC事業には数多くの指標があります。重要なのは、チーム全員が同じ指標を見て、同じ基準で判断できる状態をつくることです。
KPIが属人化していると、「自分の担当領域さえよければいい」という縦割り思考が生まれます。逆に共通のKPIがあれば、メンバー間で課題を共有しやすくなり、施策の優先順位もつけやすくなります。
アプローチ③ ツールの活用による情報の”システム化”
情報が人に宿っている状態を、システムに宿らせる——これがツール活用の本質です。MAツールによるメール配信の自動化、BIツールによるデータの一元管理、タスク管理ツールによる業務の可視化など、適切なツールを導入することで属人化のリスクを大幅に下げられます。
たとえばShopifyであれば、Shopify Flowを活用することでCRM施策の自動化や管理工数の削減が実現でき、社内担当者の負担を減らしながら施策のスピードを上げることが可能です。
アプローチ④ 外部パートナーの活用
専門性の高い領域すべてを社内で内製しようとすること自体が、属人化を生む原因になることがあります。広告運用・SEO・CRMなど、高度な専門知識が必要な領域は、信頼できる外部パートナーに委ねることも有効な選択肢です。
ただし「丸投げ」と「パートナーシップ」は異なります。社内でKPIと方針を持ちながら、実行面で外部を活用するという形が、健全な分業体制です。
属人化 vs 仕組み化 何が違うのか
| 項目 | 属人化している状態 | 仕組み化されている状態 |
|---|---|---|
| メルマガ配信 | 特定の担当者しか対応できない | テンプレートと手順書があり誰でも配信できる |
| 広告運用 | 代理店・担当者任せでブラックボックス | KPIと方針が社内で共有され、検証できる |
| データ管理 | 個人のExcelや頭の中に分散 | ツールで一元管理され誰でもアクセス可能 |
| 引き継ぎ | 担当者交代のたびにゼロリセット | ドキュメントがあり短期間で引き継げる |
| 改善サイクル | 感覚・経験則に依存 | データに基づいたPDCAが回っている |
まずどこから手をつければいいか迷ったら
属人化の解消は重要だとわかっていても、「何から始めればいいかわからない」「社内にノウハウがない」という声は多くあります。仕組みをつくりながら日々の運用もこなすのは、限られたリソースの中では簡単ではありません。
コンバートECは、ShopifyをベースにしたEC支援サービスです。構築・実装にとどまらず、売上改善施策の立案・実行・運用改善まで一気通貫でサポートします。広告運用、CRM、データ活用など、属人化が起きやすい領域に対して、社内に仕組みが根付くまで伴走する支援体制が特徴です。
「今のEC体制に課題を感じているが、どこから手をつければいいかわからない」という場合は、まずお気軽にご相談ください。現状のEC状況をヒアリングした上で、最適なプランをご提案いたします。

よくあるご質問
最初のステップは「現状の業務を書き出すこと」です。誰が・何を・どのように行っているかをリストアップするだけで、どこに属人化が集中しているかが見えてきます。全部を一度に改善しようとせず、止まると事業に直結するもの(メルマガ配信・広告管理など)から優先的に標準化していくのが現実的です。
むしろ小規模だからこそ、早い段階で仕組み化することをおすすめします。担当者が1〜2名の体制では、1人が抜けただけで運営が止まるリスクが特に高いからです。規模が小さいうちに標準化・ドキュメント化を進めておくことで、事業が成長した際にもスムーズに体制を拡張できます。
「丸投げ」になると確かにそのリスクがあります。重要なのは、KPIや方針の決定は社内で持ちつつ、実行面を外部に委ねるという役割分担を明確にすることです。定期的なレポーティングや社内へのノウハウ共有を仕組みとして取り決めておくことで、外部依存になりすぎない健全なパートナーシップを築けます。


