ShopifyのRFM分析を活用した顧客セグメント施策|11グループの読み方と優先アクションを解説

公開日:2025.08.26

売上改善

ShopifyにはRFM分析レポートが標準搭載されており、管理画面から数クリックで顧客を11のグループに分類できます。しかし「レポートは見たことがある」で止まっているストアが多いのが現状です。

この記事では、RFM分析の操作方法よりも一歩踏み込んで、自分のストアが今どういう状態にあるかを診断する読み方を解説します。顧客基盤のバランスを把握することで、闇雲な施策から脱却し、優先度の高いアクションを絞り込めるようになります。

1. 新規集客だけでは限界が来る理由

ECサイトの売上は、シンプルに言えば「客数 × 購入頻度 × 客単価」で決まります。新規集客は客数を増やすアプローチですが、広告費の高騰や競合の増加により、獲得コストは年々上がっています。

一方、既存顧客に2回目の購入をしてもらうコストは、新規獲得の5分の1ともいわれています。にもかかわらず、多くのストアが全顧客に同じメルマガを送り、同じクーポンを配り続けています。顧客を「誰が・いつ・どれだけ買っているか」で区別せずに施策を打つのは、全員に同じ処方箋を出すようなものです。

RFM分析は、この「顧客の状態の見える化」を最もシンプルに実現する手法として、CRMの現場で長く使われてきました。まず基本を押さえた上で、Shopifyでの活用方法を見ていきましょう。

2. RFM分析とは何か

RFMは、顧客の購買行動を示す3つの指標の頭文字です。この3軸でスコアを付け、顧客をグループに分けることで「誰が優良顧客で、誰が離脱しかけているか」が一目でわかるようになります。

指標英語意味
RRecency(最終購入日)最後に買ったのがいつか
FFrequency(購入頻度)何回買っているか
MMonetary(購入金額)合計でいくら使っているか

Shopifyのスコアリングで知っておくべき前提

ShopifyのRFMスコアは絶対評価ではなく相対評価です。スコア5はそのストア内で上位20%に入っていることを示し、スコア1は下位20%を意味します。つまり、スコアの意味は自社ストアのデータが基準であり、他社との比較はできません。また、注文データが少ない立ち上げ期はスコアが不安定になりやすいため、ある程度注文が蓄積されてから活用するのが適切です。

3. ShopifyのRFMレポートの確認方法

Shopify管理画面からの操作手順は以下の通りです。追加のアプリや設定は不要で、デフォルトでレポートが用意されています(Shopify Winter ’25以降)。

【操作手順】Shopify管理画面 > ストア分析 > レポート > RFMに基づくお客様分析

レポートでは、ストア全体の顧客が以下の11グループに自動分類されて表示されます。グループ名をクリックすると、対象顧客の一覧プレビューと顧客セグメントの作成が即座にできます。分析から顧客リストの抽出まで、Shopify内で完結するのが大きな特徴です。

グループ名特徴
Champions(チャンピオン)直近購入・高頻度・高金額。最も優良な顧客層
Loyal customers(ロイヤル顧客)定期的に購入しているコアファン
Potential loyalists(潜在的ロイヤル顧客)直近購入・頻度はまだ低いが伸びしろあり
Recent customers(最近の顧客)最近初めて、または再度購入した顧客
Promising(有望な顧客)直近購入・頻度はまだ低い・育成余地あり
Customers needing attention(要注目顧客)頻度・金額はそこそこだが最近購入なし
About to sleep(休眠しかけ)スコアが全体的に低く、放置すると離脱する
At risk(リスクあり)かつては購入していたが最近動きがない
Cannot lose them(失いたくない顧客)高金額・高頻度だったが長期間購入なし
Hibernating(休眠中)R・F・Mすべてのスコアが低い
Lost(離脱)長期間購入がなく、再活性化が困難な状態

4. RFMで「顧客基盤の健康診断」をする読み方

レポートを開いたとき、多くの方は各グループの人数だけを見て終わります。しかし本当に重要なのは、グループ間の比率のバランスです。自分のストアが以下の3類型のどれに近いかを確認してみてください。

診断パターン①:新規依存型

Champions・Loyal customersが少なく、Recent customers・Promisingが多い状態です。売上は立っているものの、リピーターが育っておらず、集客を止めると売上が止まる構造になっています。新規獲得コストが上がるほど利益が圧迫されるため、顧客基盤を「入口は広いが底が抜けているバケツ」と考えると分かりやすいでしょう。優先すべきアクションは2回目購入の促進です。Promising・Recent customersをLoyal customersへ引き上げることが最優先課題になります。

診断パターン②:離脱危機型

At risk・Cannot lose them・Hibernatingの合計比率が高い状態です。過去に購入してくれた優良顧客が静かに離れていっているサインであり、一見して売上が安定しているように見えても、顧客基盤は確実に劣化しています。特にCannot lose themに優良顧客が集まっている場合は緊急度が高く、まずこのグループへの集中的なアプローチが必要です。

診断パターン③:健全成長型

Champions・Loyal customersの比率が高く、各グループにバランスよく顧客が分散している状態です。顧客基盤が安定しており、LTVも高い傾向にあります。ここからさらに成長するには、Champions層へのVIP施策と、Promisingの底上げを並行して進める段階です。

診断のポイントは「比率」で見ること

人数の絶対値ではなく、「全体のうち何%がAt risk以下に属しているか」「Champions+Loyalが合計で何%いるか」を確認しましょう。At risk以下の合計が全体の30%を超えていれば、離脱危機型に近い状態と判断してください。

5. セグメント別・優先施策の対応表

診断パターンが分かったら、次は各グループへの施策の優先度を決めます。以下の表を参考に、自分のストアの状況に合わせて着手するセグメントを絞り込んでください。

グループ施策の方向性コミュニケーション例優先度
Championsロイヤリティ強化・口コミ促進限定先行案内・VIP感のある個別メッセージ★★★
Loyal customers継続購入の維持・アップセル新商品案内・ポイント倍増キャンペーン★★★
Cannot lose them緊急の離脱防止特別割引・「お久しぶりです」パーソナル訴求★★★
At risk再購入のきっかけ作り限定クーポン・購入理由を思い出させるコンテンツ★★
Potential loyalists2回目購入の後押し購入後フォローメール・レビュー依頼+次回クーポン★★
Promising購入頻度の引き上げ関連商品紹介・定期購入プランの訴求★★
Recent customers関係性の構築ブランドストーリー・使い方コンテンツ
Customers needing attention再エンゲージメント最近の新商品情報・季節訴求
About to sleep休眠前の引き留めシンプルなリマインドメール
Hibernating低コストでの接触維持セール情報のみ・最小限の接触
Lost費用対効果を見極めた対応ウィンバックキャンペーン(費用対効果が合う場合のみ)

この表を見て気づくことがあります。グループごとに「何を伝えるか」「どのトーンで伝えるか」がまったく異なります。Champions向けのVIPメッセージとAt risk向けの復帰訴求を同じ文面で送ることはできません。11グループそれぞれにコミュニケーション設計をしようとすると、コンテンツ制作の工数は膨大になります。実際に運用を続けているストアは、最初から全グループに対応しているわけではなく、診断結果をもとに「最も緊急度の高い2〜3グループに絞る」というアプローチをとっています。

6. RFM診断で詰まりやすい3つのポイント

実際にRFM分析を活用しようとすると、以下の3つの壁にぶつかることが多いです。

① 施策の優先順位が決められない

診断パターンが「新規依存型」だと分かっても、「では Promising向けに何をすべきか」という具体的な施策案に落とし込む部分でストップしてしまいます。自社の商品特性やブランドトーンを踏まえたメッセージ設計は、テンプレートでは対応しきれない部分です。

② セグメント別のコンテンツが追いつかない

顧客セグメントを作っても、各グループに送る「コンテンツ」を用意するリソースがないと施策は進みません。担当者が兼務している中小規模のストアでは、分析はできても実行が追いつかないケースが頻発します。

③ 継続的なモニタリングの仕組みが作れない

RFM分析は一度やって終わりにすると意味がありません。月次でグループ比率の推移を見て、施策の効果を検証するサイクルが必要ですが、このPDCAを回す体制を内製で整えるのはハードルが高いです。これらの課題は分析ツールの問題ではなく「運用設計」の問題です。RFMで現状が見えた後、次のステップに進むための支援が必要なタイミングは意外と早く来ます。

まとめ

ShopifyのRFM分析は、標準機能として誰でも使えるにもかかわらず、「レポートを眺めて終わり」になっているストアがほとんどです。この記事で解説した内容を振り返ります。

RFM分析の目的は、顧客全体を「最近買ったか」「何回買ったか」「いくら使ったか」の3軸で分類し、グループごとに適切な施策を打つことです。ShopifyのRFMスコアは自社ストア内での相対評価であり、他社との比較には使えません。

レポートを見るときは、各グループの人数ではなく比率のバランスに注目してください。Champions・Loyal customersが厚いか、At risk以下が30%を超えていないかを確認することで、自社ストアが「新規依存型」「離脱危機型」「健全成長型」のどの状態にあるかを診断できます。

診断後は11グループ全てに一度に対応しようとせず、緊急度の高い2〜3グループに絞って施策を設計するのが現実的なアプローチです。施策の優先順位付け・コンテンツ設計・継続的なモニタリングといった「運用設計」の部分に課題を感じた場合は、専門家のサポートを活用することも選択肢の一つです。

よくあるご質問

ShopifyのRFM分析はどのプランから使えますか?

「RFMに基づくお客様分析」レポートはShopify Winter ’25以降の標準機能として提供されています。ただし、利用できるレポート機能はプランによって異なる場合があるため、最新の情報はShopifyのヘルプセンターをご確認ください。

注文数が少ないうちからRFM分析を活用できますか?

あまりおすすめできません。ShopifyのRFMスコアは相対評価(ストア内での順位)のため、母数が少ないとスコアの分布が偏り、正確な診断が難しくなります。数百件以上の注文データが蓄積されてから活用するのが適切です。

RFMグループは自分でカスタマイズできますか?

ShopifyのRFM分析レポートに表示される11グループの定義はShopify側が設定しており、グループの区切り条件をユーザーが変更することはできません。より柔軟なセグメント条件が必要な場合は、顧客セグメント機能の rfm_group 属性を組み合わせた手動フィルターや、外部の分析ツールの活用をご検討ください。

RFM分析をすれば売上は上がりますか?

分析自体が売上を上げるわけではありません。RFM分析は「現状把握と優先度の特定」をするためのツールです。売上につながるのは、その後の施策の質と継続性です。診断結果をもとに「どのセグメントに・何を・どのタイミングで届けるか」を設計し、実行・改善のサイクルを回して初めて効果が出ます。

競合他社のスコアと比較できますか?

できません。ShopifyのRFMスコアは自社ストアのデータのみを基準にした相対評価のため、業界平均や競合との比較には使えません。あくまで「自社ストアの中での顧客状態の把握」に使うツールとして理解しておく必要があります。

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