求人を出しても応募がこない。やっと採用できたと思ったら、求めていたスキルと違った。育てる時間もないのに、半年で辞めてしまった——EC運営に携わる経営者や担当者から、こうした声を頻繁に耳にします。
採用活動にかけた媒体費、面接にかけた工数、育成に費やした時間。それだけのコストをかけても、現場は一向に楽にならない。そんな状況が続いているとしたら、もしかすると「採用できないことが問題」ではなく、「採用を前提にしていること」自体を見直すタイミングかもしれません。
本記事では、EC人材の採用が難しい時代に売上を伸ばしている企業の共通点と、自社に合った運営モデルの選び方を解説します。
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EC人材の採用が難しい本当の理由
構造的な人材不足という現実
EC市場は年々拡大しており、広告運用・CRM・データ分析・制作など、専門性の高い人材への需要は増え続けています。一方で、即戦力として動けるEC人材の供給はそれに追いついていません。つまり、採用市場はすでにレッドオーシャンです。
大手企業や有名ブランドと同じ土俵で採用競争をしても、条件面や知名度で不利になるケースがほとんどです。「採用できない」のは自社の努力が足りないからではなく、市場の構造的な問題でもあります。
「採用すれば解決する」という前提を疑う
採用は目的ではなく、手段のひとつです。本来の目的は「EC事業を成長させること」であり、そのための手段が採用である必要はありません。
実際、少人数体制でもEC売上を伸ばしている企業は存在します。共通しているのは、採用に頼らずに「誰が・何を・どこまでやるか」を意図的に設計している点です。採用の前に、まずその設計を持っているかどうかが問われます。
EC運営の3つのモデル
EC事業の運営体制は、大きく3つのモデルに分けられます。自社がどのモデルで動いているか、あるいはどのモデルを目指すべきかを整理することが、人材課題を解決する第一歩です。
モデルA|内製型(採用・育成)
どんな体制か
広告運用・メルマガ配信・データ分析・サイト更新など、EC業務のほとんどを自社スタッフで担う体制です。ノウハウが社内に蓄積されやすく、施策のスピード感も出やすいというメリットがあります。
リスクと課題
採用コスト・育成コスト・離職リスクがすべて社内に集中します。即戦力になるまでに数ヶ月〜1年以上かかることも珍しくなく、その間も現場は止められません。また、EC業務は広告・CRM・制作・分析と多岐にわたるため、「全部内製」を目指すと人件費だけで年間数百万円規模になるケースもあります。
モデルB|外注型(パートナー活用)
どんな体制か
広告運用・CRM・サイト制作など、専門性の高い業務を外部のパートナーや代理店に委託するモデルです。採用・育成コストをかけずに即戦力のプロが動き、固定費ではなく変動費として動かせる点が魅力です。
リスクと課題
丸投げになってしまうと、社内にノウハウが蓄積されません。何にいくら使っているか、なぜその施策なのかを社内で把握できない「ブラックボックス化」が起きやすく、担当者が変わるたびにゼロリセットになるリスクもあります。
モデルC|ハイブリッド型
どんな体制か
方針決定・KPI管理・意思決定は社内で持ち、実行面は外部パートナーと分担するモデルです。社内リソースを最小限に抑えながら、専門性の高い領域はプロに任せるという、現実的な分業体制です。
なぜ今、このモデルが注目されるのか
内製型のコストと外注型のリスクを両立して避けられる点が、多くのEC事業者に支持される理由です。社内に「EC全部わかる人」を置かなくても、パートナーとの連携設計さえ整えれば、事業は十分に成長させられます。
3モデルの比較
| 項目 | 内製型 | 外注型 | ハイブリッド型 |
|---|---|---|---|
| 初期コスト | 高い(採用・育成費) | 低い | 中程度 |
| 即効性 | 低い(育成に時間がかかる) | 高い | 高い |
| ノウハウ蓄積 | 社内に蓄積しやすい | 蓄積されにくい | 設計次第で蓄積可能 |
| 離職リスク | 高い | 低い | 低い |
| ブラックボックス化 | 起きにくい | 起きやすい | 連携設計で防げる |
自社に合うモデルの判断基準
どのモデルが正解かは、事業規模・チーム体制・フェーズによって異なります。以下の3つの軸で自社の状況を確認してみてください。
判断軸① 年商・事業規模
| 年商の目安 | 推奨モデル | 理由 |
|---|---|---|
| 〜3,000万円 | 外注型 or ハイブリッド | 固定費を抑えながら専門性を確保する段階 |
| 3,000万〜1億円 | ハイブリッド型 | 仕組みをつくりながらスケールする段階 |
| 1億円〜 | ハイブリッド→内製強化へ移行 | ノウハウを社内に引き取りながら体制を拡張する段階 |
判断軸② 現在のチーム体制
- EC専任がいない:まず外部パートナーで仕組みをつくる。社内は方針決定と確認に集中する
- 兼任担当が1名いる:ハイブリッドで外部と役割を分担し、担当者の負荷を下げる
- 数名体制が整っている:外部から段階的に内製化を進め、ノウハウを引き取っていく
判断軸③ 事業フェーズ
- 立ち上げ期:スピードが最優先。外注でまず動かし、PDCAを回す
- 成長期:再現性が重要。ハイブリッドで仕組みを設計しながらスケールする
- 安定期:効率化・内製化を検討。属人化を解消しながらチーム体制を整える
「全部内製」が非効率な理由
EC業務を分解すると、広告運用・メルマガ・SNS・サイト制作・データ分析・カスタマーサポートなど、実に多くの専門領域が含まれます。これらすべてに精通した人材を1人で採用することは現実的ではなく、複数名で賄おうとすれば人件費は膨らみます。
さらに、採用できたとしても「育成→戦力化→離職」のサイクルが繰り返されれば、投じたコストはそのつど消えていきます。重要なのは「どこを社内に持ち、どこを外部に任せるか」を意図的に設計することです。すべてを内製しようとすること自体が、リソースを無駄に消耗させている可能性があります。
まずは自社の体制設計から始めてみる
「採用できないから詰んでいる」ではなく、「採用しなくても伸ばせる設計にする」——この発想の転換が、人材難の時代にEC売上を伸ばす企業と、伸び悩む企業の分岐点になっています。
コンバートECは、ShopifyをベースにしたEC支援サービスです。構築・実装だけでなく、広告運用・CRM・データ活用など売上に直結する施策の立案から実行まで一気通貫でサポートします。社内にEC専任がいない体制でも、ハイブリッド型の伴走支援で事業成長を実現してきた実績があります。
「今の体制でどこまでできるか相談したい」「まず何から手をつければいいかわからない」という場合も、お気軽にお問い合わせください。現状をヒアリングした上で、自社フェーズに合った最適なプランをご提案いたします。

よくあるご質問
はい、可能です。むしろEC専任がいない段階こそ、外部パートナーの活用が効果的です。方針の決定や最終確認は社内で行い、実行面を外部に任せるハイブリッド型であれば、少人数体制でも施策を動かすことができます。まずは現状の課題をヒアリングした上で、社内負担を最小限に抑えた体制をご提案いたします。
丸投げになってしまうと、その懸念は正しいです。コンバートECでは、施策の実行と並行して社内担当者へのレクチャーや、運用ドキュメントの整備も支援しています。外部依存を減らしながら段階的に内製化を進めたいという場合も、フェーズに合わせた体制設計をご提案できます。
目安のひとつは、年商1億円を超えてEC事業が安定成長している段階です。それまでは固定費を抑えながら外部の専門性を活用し、事業規模が拡大してからノウハウを社内に引き取っていくほうが、トータルのコストパフォーマンスは高くなります。ただし、商材や体制によって最適なタイミングは異なるため、まずは現状をご相談ください。


