広告費をかければかけるほど、利益が薄くなっていく。新規のお客様は来てくれるのに、リピートが伸びない。SNSのフォロワーは増えているのに、売上には直結しない——そんな状況に心当たりはないでしょうか。
EC事業において、売上の安定と利益率の改善を両立している企業の多くが共通して力を入れているのが、LINEとメルマガによる顧客へのアプローチです。「なんとなくやっているけど、優先度は低い」という状態のまま広告費だけが膨らんでいるとしたら、大きな機会損失が生まれているかもしれません。
本記事では、なぜLINEとメルマガがEC売上の柱になるのか、その構造的な理由と具体的な活用方法を解説します。
「集客=広告」という思い込みが利益を削る
EC売上は2つの軸で成り立っている
EC売上は大きく「新規顧客からの購入」と「既存顧客からのリピート購入」の2軸で構成されています。多くの企業が広告費を投じて力を入れているのは前者、つまり新規獲得です。しかし、マーケティングの世界では古くから「新規顧客の獲得には、既存顧客の維持と比べて5倍のコストがかかる」と言われています。
広告経由で新規顧客を獲得し続けるモデルは、売上は立つものの利益率が上がりにくい構造です。一方、既存顧客への継続的なアプローチでリピート率を高めれば、追加の広告コストをかけずに売上を積み上げられます。
リピートを生むのは「関係性」である
顧客が2回目・3回目の購入をするかどうかは、商品の品質だけでは決まりません。ブランドとの関係性、つまり「また買いたい」と思わせるコミュニケーションが継続しているかどうかが大きく影響します。そのコミュニケーションの手段として最も有効なのが、LINEとメルマガです。
LINEとメルマガが強い4つの理由
理由①|プッシュ型で自分から届けられる
SEOや検索広告は、ユーザーが能動的に探してくれて初めて接触できる「待ち」の集客です。SNSも、アルゴリズムの変化によって投稿がフォロワーに届かないことが珍しくありません。
一方、LINEとメルマガはこちらからタイミングを選んで届けられる「プッシュ型」のコミュニケーションです。セールの告知、新商品の発売、季節に合わせたキャンペーンなど、売りたいタイミングで確実にアプローチできる点が、広告やSNSにはない強みです。
理由②|自社で保有できる顧客接点
広告はプラットフォームのルール変更や入札単価の高騰によって、いつでも影響を受けます。Instagramのアルゴリズム変更でリーチが激減した、広告の審査が厳しくなって配信が止まった——こうした事例は珍しくありません。
しかしLINEの友だちリストやメールアドレスは、自社が保有する顧客資産です。一度獲得すれば、プラットフォームの都合に左右されることなく、継続的にアプローチできます。EC事業において「リストを育てる」ことは、安定した売上基盤をつくることと同義です。
理由③|購買意欲の高い層に届く
LINEを友だち追加したり、メルマガを登録したりするユーザーは、すでにそのブランドや商品に興味を持っています。全くの見込み客に向けて配信する広告と異なり、関係性のある相手へのコミュニケーションであるため、開封率・クリック率・購入転換率が高くなりやすい傾向があります。
コストをかけて集めたリストに適切なメッセージを届けることは、広告費をかけて新規顧客を獲得するより、はるかに効率的な売上獲得手段です。
理由④|LTVを継続的に伸ばせる
1回買って終わりではなく、継続的な関係をつくることでLTV(顧客生涯価値)は伸びていきます。定期的な接触がブランドへの信頼と購買習慣を育て、クロスセルやアップセルの機会も生まれます。EC事業における利益の最大化は、新規獲得のコストを下げることよりも、既存顧客のLTVを上げることのほうが構造的に効果的です。
LINEとメルマガの使い分け
LINEとメルマガはどちらか一方を選ぶものではなく、それぞれの特性を理解した上で役割分担して活用するのが最も効果的です。
| 項目 | LINE | メルマガ |
|---|---|---|
| 開封率の目安 | 高い(通知で気づきやすい) | やや低い(受信ボックスに埋もれやすい) |
| 向いているコンテンツ | クーポン・セール・新商品告知 | 読み物・ブランドストーリー・詳細情報 |
| リスト獲得のしやすさ | 高い(QRコード・ポップアップ) | 中程度(購入時・登録フォームなど) |
| 情報量 | 短文・画像向き | 長文・詳細向き |
| 費用感 | 配信数によって変動 | 比較的低コスト |
たとえば「セールの告知はLINEで即時配信、ブランドの世界観やコラムはメルマガで丁寧に届ける」という役割分担が典型的です。両方を組み合わせることで、顧客との接点を多層的に持てるようになります。
多くの企業が活用できていない理由
CRMが属人化・後回しになっている
LINEとメルマガの重要性は多くの担当者が理解しています。しかし実際には「配信コンテンツをつくる人がいない」「何を送ればいいかわからない」「リストはあるが活用できていない」という状態のまま、優先度が下がっているケースが多くあります。
さらに、配信作業が特定の担当者にしか触れない状態になっていたり、過去の配信実績が個人のフォルダにしか残っていなかったりと、CRM領域は属人化が起きやすい領域でもあります。担当者が変わるたびにリストの活用が止まり、蓄積されるべきノウハウが消えていく——これがリピート率が上がらない構造的な原因になっていることも少なくありません。
効果測定ができていない
配信はしているものの、開封率・クリック率・CVRをKPIとして定点観測していない企業も多くあります。数値で効果を把握できなければ、改善の方向性が定まらず、「なんとなく配信し続けているだけ」になってしまいます。CRMはPDCAを回してこそ、売上への貢献度が高まります。
まず取り組むべき3つのこと
① リスト獲得の導線を設計する
LINE友だち追加やメルマガ登録は、サイトのどこで・どんなオファーで促すかによって獲得数が大きく変わります。購入完了ページ・ポップアップ・クーポン配布など、自社のECサイトに合った導線を設計することが第一歩です。
② 配信シナリオを設計する
誰に・何を・いつ送るかを事前に設計しておくことで、配信が属人化せず、再現性のある施策になります。新規登録者向けのステップ配信、購入後のフォローアップ、休眠顧客への再アプローチなど、顧客の状態に応じたシナリオを持つことが重要です。
③ KPIを設定して定点観測する
開封率・クリック率・CVR・売上貢献額を定期的に確認する仕組みをつくります。数値を見ることで「どの配信が効いているか」「どのセグメントの反応が高いか」が見えてきて、次の施策に活かせます。
CRM施策を仕組みとして動かすために
LINEとメルマガは、正しく運用すれば広告費をかけずに売上を積み上げられる強力な手段です。しかし「重要とわかっているけど、手が回っていない」という状態が続いているとしたら、仕組みと体制の問題です。
コンバートECでは、ShopifyのShopify Flowを活用したCRM施策の自動化や、メルマガ・LINE運用の設計・実行支援を行っています。リスト獲得の導線設計から配信シナリオの構築、効果測定の仕組みづくりまで、売上につながるCRM体制を一気通貫でサポートします。
「CRMに力を入れたいが何から始めればいいかわからない」「今のリストをもっと活用したい」という場合は、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問
即効性を重視するならLINEがおすすめです。開封率が高く、クーポンやセール告知との相性がよいため、短期間で売上への貢献を実感しやすい傾向があります。一方、ブランドの世界観を丁寧に伝えたい、コンテンツマーケティングに力を入れたいという場合はメルマガが適しています。理想は両方を役割分担して運用することですが、リソースが限られている場合はまずLINEから着手し、仕組みができてからメルマガを加えるという順番が現実的です。
リストの規模よりも、リストの質と配信内容の方が重要です。少数でもブランドに興味を持った顧客へ適切なメッセージを届ければ、十分な売上貢献が期待できます。まずはリスト獲得の導線を整え、少ないリストでPDCAを回すことで、配信のノウハウを蓄積しながらリストを育てていくことをおすすめします。
配信の頻度や内容を「仕組み化」することで、都度ゼロから考えるコストを大幅に削減できます。商品紹介・スタッフのおすすめ・季節の提案など、配信テーマのテンプレートを用意しておくことが第一歩です。また、ステップ配信を活用すれば、一度設定したシナリオが自動で動き続けるため、担当者の負荷を最小限に抑えながら継続的な顧客アプローチが可能になります。

